私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
着信履歴、弘人。




しかも10件。




これは、さすがにかけ直した方がいいよね。




私は弘人に電話をかける。




コールしてすぐに弘人が出た。




「あっ!志帆!!・・・・・・・えと、その、昨日はごめん。」




電話の向こうから聞こえる弘人の声は今までで一番、悲しそうな顔をしていた。




「・・・・・・ううん。私も昨日そのまま帰っちゃってごめん。」





「いや、それは俺が悪いから。その、また今度会った時でいいからちゃんと話したいことがあるんだ。」





「うん。・・・・・・・分かった!じゃあまた今度。」




「うん。・・・・・・なんか、声おかしくない?」




「あーー、風邪引いたみたい。でも、大丈夫。」




「本当に!?ちょっ、俺のせい?とりあえず、ちゃんと寝てよ!?」




急にいつもの弘人が戻ってきて笑ってしまった。




「うん。お母さんみたいだ!えと、じゃあ寝るね。」




「うん。お大事に。」




それだけ言って電話が切れた。




はぁー。




お互いちょっとぎこちなかったな。



弘人は、・・・・・・・・私に告白してくれたんだよね。



ずっと私が大樹を好きだって知っていたのに。




私には出来なかったこと。




ダメだって思ってても、言っちゃいそうになる気持ち。




弘人の気持ちが分からないわけじゃない。




物凄く分かる。




だからこそ、昨日逃げてしまったことが申し訳ない。



いくら混乱してたからって。



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