私が行かないでって言ったら、君はここにいてくれますか?
俺はもう1度救急車に乗り込んで手を繋いだ。



「志帆ーー!!」



外から恋ちゃんの大声が聞こえる。



友達に抑えられて叫んでいる。



あんなに取り乱した姿を初めて見た。



「先生乗りますか!?早くしてください!!」



救急隊員にそう言われて先生が乗り込んだ。



そして救急車がサイレンを鳴らして走り出す。



恋ちゃんの泣き顔が見えた。



「脈測りますよ!!」



そう言われて俺は繋いだ手を離した。



「ちょっと遅い・・・・・病院に電話!!」



そう言って救急隊員が電話をかける。



救急車の中ってこんなに大変なのか。



患者を見ながら、病院に連絡して今の状況を知らせる。



先生は学校に電話を掛けて、志帆のお母さんに連絡するよう言ってるみたいだ。



俺はただ、この状況を理解するのに精一杯だ。



情けない・・・・・・・・・・



「君!!名前は!?」



突然そう言われてびっくりする。



「えと、弘人です。」



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