紳士的?その言葉、似合いません!



どれぐらいそうしていたのかはわからない。ただ自分でも高いと思うプライドのおかげで気持ち的には流されなかったけど体はふぬけてしまったのでそうなるぐらいの時間は経っていたいたらしい。


足に力が入らずに強制的に椅子に座らされる。こんな風になるなんて初めてで悔しくてこれでもかというぐらいキッと睨み付けた。


しかもここをどこだと思っているんだ。普通に店の中なんだけど!公共の場なんだけど?!こんなところでそんなことするなんて信じられない!!


そしてまさかその場で怒鳴るわけにもいかずささやかだがそんな抗議を込めて睨むものの効果はないらしく本人はニッコリと笑顔でわたしの頬を撫でた。



「人の話は最後まで聞くものですよ?逃亡とは許しがたいですねぇ」



クスクスと笑みをこぼす姿は一見すればいつも通りにも見えるのに明らかに雰囲気が違う。響く声の色が違う。瞳に宿る鋭さが違う。


怒りも悔しさも羞恥も忘れて都築さんを見つめる。目が合った瞬間に金縛りに合ったかのように体が固まった。都築さんの一挙一動に過敏に反応してしまう。



「他にも理由があると言ったでしょう?」



一瞬なんの理由だと思うがすぐにさっきの続きだと悟る。実を言うともうそれは聞かなくてもいい。それよりこのなんか妖しい空気をどうにかする方法を教えてもらいたい。


なんてことがいえるはずもなくごくりと言葉にならなかったものを嚥下した。




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