紳士的?その言葉、似合いません!



頰を撫でていた手がするりとわたしの唇をなぞるように触れる。それだけでさっきのキスを思い出して頰が紅潮したのがわかった。


美麗な顔に妖しげな表情を乗せてわたしを見る都築さんは目の保養を通り越してもはや毒だ。そんなのは他の女を引っ掛けるときだけにして欲しい。



「羞恥に頰を染める姿は男としてはなかなかにそそられるものがありますねぇ」


「なっ…!」



微動だにしない笑顔でなんてことを言うんだこの人はっ!!やっぱ変態だ!この人紳士な皮を被った変態だよ間違いない!みんな騙されとる!!


わなわなと震えながらも都築さんの手を振り落としてできるだけ距離を取る。無駄というなかれ、そういうのはわかっててもしてしまうものなのだ。


そんな警戒心マックスなわたしを都築さんは面白そうに見つめて「あぁ、そうでした」とわざとらしく話を続ける。



「先ほど別れてよかったと言ったのは、あなたにとってよかったというわけではなくて『私』にとってよかった、という意味ですよ」


「は…?」


「だって彼氏がいたら貴女に手を出すことはできないでしょう?そういうのは嫌がられそうでしたしねぇ。それもまた乙ですが早々に警戒されるのも困りますし」


「え、ちょ、」


「なのでこれからは誰に遠慮することなく貴女に手を出せますからよかったなぁと。とりあえず体から陥落させてみせましょうか。というわけで私に流されて下さいね」


「はぁっ?!!」



今なんておっしゃいました?!?!




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