紳士的?その言葉、似合いません!



そしてなんやかんやで今に至ってます。これは夢だと叫ぶわたしに朝から有無を言わさない笑顔でこれでもかと現実を認識させられましたよくそう。


自由に動かない体に力を入れて差し出された水を飲む。一気にすべてを飲み干してどれだけ自分の喉が渇いていたのか自覚した。



「今何時ですか」


「11時になりますねぇ。お腹でも空きましたか?」



否定しないけど違うわこの変態。とは言えないのが縦社会で生きる社会人として悔しいところである。昨日散々連呼したけど。


まぁ昨夜は少なからずアルコールと予想だにしない展開のせいで罵詈雑言を吐いたがそれを受け止めていた本人と言えば「怯える貴女に罵られるのもなかなか楽しいものですねぇ」とのたまいやがった。これを変態と呼ばずになんと呼ぶ。


ニコニコと笑顔を浮かべたままわたしを見つめる瞳を無理やり無視しつつ空になったペットボトルをゴミ箱に入れる。



「わたし、帰ります」



1人の時間が欲しい切実に。昨日からの急展開に頭と体と心がついていかない。これは一度ちゃんと落ち着いて考える必要がある絶対に。



「おや、帰ってしまうのですか。もうすぐお昼時ですから手料理ぐらい振る舞いますよ?」


「そうやって引き留めようとしてもダメですから。帰ります」



これ以上流されて…ないけどね!言われるがままここにいてたまるか!!





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