紳士的?その言葉、似合いません!
とりあえずどれだけ自分の周りが騒がしかろうが変わろうが仕事には関係ない。そこはかとなくいつもよりそわそわした空気の中で仕事を終わらせて知らずのうちにホッとした。
仕事はやりがいがあるしすればするだけ見える形で結果が伴ってくるのだから結構好きだ。でもこんなに早く仕事を終わらせた、というか終われと思いながらしたのは初めてかもしれない。
噂の中じゃ(断じて認めたくないけど)わたしが都築さんの婚約者ってことになってたからさぞ他の女性からの視線が痛いだろうと思ってたけど意外なことにそんなこともなかった。
正確に言うと食堂とかではそれなりにそういう視線を感じたけど秘書課の中では全くと言っていいほどなかった。むしろ労わるような憐れむような生暖かい視線をもらったんだけど…
あれだろうか。わたしが知らなかっただけで同じ職場で働いている人たちは都築さんが実はなんちゃって紳士だったと知っていたのだろうか。
だとしたらあの視線も納得である。ただあくまでわたしの推測であって実際どうなのかはわからない。気になるけどそれを聞くのは、こう、なんとなく怖いというか…何が怖いって都築さんにバレたときが一番怖い。
あの美麗な笑顔で重圧をかけてくる都築さんが容易に想像できる。容姿が整っているからこそその恐ろしさは倍増だとこの数日で学んだわ。