紳士的?その言葉、似合いません!



「喧嘩売ってるというかわたしの純粋な希望ですよ。よしんば先輩には似ててもカッコイイ男になりそうですけど、社長は話からして似てたら先輩も嫌なんじゃないですか?」


「……否定しきれないわね」



複雑そうな表情をする先輩にそうだろそうだろ、とわたしも頷く。いや、何度も言ってるようにわたしと社長に接点はないんだけど。


ただ先輩と社長の馴れ初めとか都築さんの親戚ってだけでわたし的にはアウトである。(まともな親戚の人いたらすみません)



「まぁ久しぶりに会ったんだからこの話はやめておきましょ。噂したらあいつら来そうで怖いわ」


「それは同感です」



あの人どこかに盗聴器でもつけているのかってぐらいタイミングよくこっち来たり電話きたりするし。あれはエスパー並みである。


そういえばわたしは都築さんと結婚…一応結婚したことでなぜか仕事を辞めさせられた。なので先輩はもう先輩じゃないんだよね。でもずっと先輩呼びだったので直す気はない。


先輩も哉瑪くんのことがあったとき仕事を辞めさせられそうになったけど、そうしたら離婚すると言い張って現在も続けていられるらしい。先輩すごい。無条件で尊敬する。


わたしも最初は反対していたけど、都築さんの笑顔で全てを黙殺する圧力と子どもが生まれたときのことを考えて渋々諦めた。


わたしの両親はいるけど都築さんの両親は海外だし、ちゃんと子どものことは育てたいと思ったから。都築さんが仕事辞められないのも忙しいのも知ってるし。それにいざと言いときは再就職すればいいしね。




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