紳士的?その言葉、似合いません!



哉瑪くんの赤ちゃんだったときの話や子育ての話、仕事の話などなど先輩お母さんのありがたいお話を聞いていれば玄関の方で音がする。


すぐにリビングの扉が開いて見慣れた人がニッコリと笑った。



「ただ今帰りました。凛華さん」


「お帰りなさい」



その後ろには社長の姿も。こんなに近くで会うの初めてだなぁ、と思わず都築さんよりも凝視してしまう。


社長はさすが都築さんの親戚であってとても整った容姿をしている。その雰囲気とかは正反対だけど。


ただその雰囲気も先輩の前ではとても和らいだものになっていて、本当にこの2人は夫婦なんだとしみじみ感じた。



「凛華さん、気分転換にはなりましたか?」


「……先輩と会えたのは素直に嬉しいですけど、わたしの外出禁止令を解いてくれれば気分転換は簡単にできると思います」


「貴女は今大事な時期ですからねぇ。私の目の入るところならいいですが、そうでないとところに凛華さんだけで赴くのは心配でたまりませんから」



諦めてください、と美麗な笑顔で無情に却下。こういう人だとわかっていたのに聞いたのはなぜなのか。自分に問いただしい。



「あんたの旦那も帰ってきたことだし私ももう帰るわ」



じゃあまた連絡するわね、と言う先輩にお礼を言って玄関まで見送る。そんなことはしなくていいですよ、と失礼なことを言う人は当然無視だ。




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