向日葵にさよなら。

 母さんにいちいち説明したくはなかったから、適当に話を合わせてお店を出た。

 店を出て左に曲がり、急ぎ足で坂を下ろうとしたとき、

「あれ、松波くん? 今からお出掛けなの?」

――久しぶりに聞く、彼女の声が背中越しに聞こえた。


「倉本……久しぶり」

「久しぶり、かな? 最後に会ったのは三週間くらい前かな」

 具体的に期間を言われると、そう久しぶりでもないような気がした。
 ぱっと見た感じ元気そうでほっとしたとともに、どうして彼女がここにいるのかが気になってしまう。


「それで、今日はどうしたの?」

「今日も、花を買いにきたんだ。なかに入ってもいいかな?」

「もちろん」

 僕は倉本とともに、さっき出たばかりの店に入った。


 
< 29 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop