向日葵にさよなら。
母さんと顔を合わせるのは気まずいけれど、仕方ない。余計なことを言わないといいけど。
「いらっしゃいませ。あら、あなたは一度工に会いに来てくれた子よね? 今日はどうしたの?」
「こんにちは。今日は買い物にきました」
「そうなのね、どんなお花がいいのかしら?……工、お友だちのことは母さんに任せて出掛けていいのよ。病院にいくんでしょ?」
「……いや、もういかなくていい。あと、倉本の接客は、僕がやるから」
嫌な予感が的中した。倉本には僕が病院にいこうとしていたこと、知られたくなかったのにな。
母さんは意味深な笑みを浮かべて「ごゆっくり」と言いながら二階に上がっていった。
「松波くん、病院に行く用事があったの? いかなくて大丈夫?」
「うん。急ぎじゃないから」
「え、ダメだよ。私が来たせいで予定を変えちゃうんでしょう? お見舞いだったらもう受付終わっちゃうよ?」