最後の恋 【番外編: 礼央目線】
弁護士から相手の男に連絡を入れると、男は弁護士が出てきた事で観念したのかこちらの要望を大人しく聞き入れた。


弁護士と男が会ったその日、俺は朝から取引先との接待ゴルフに出かけていた。


そして、杏奈はというと不動産に出向き今頃は物件周りをしている頃だろう。


ゴルフをしていても、その両方ばかりが気になってなかなか集中できなかった。


『このままここで一緒に住めばいいのに』


何度言っても頑固な彼女は首を縦にはしなかった。


そんな彼女を説き伏せることに失敗した俺は、今回のようなことがもう起こらないようにセキュリティだけは妥協はしないでくれと何度も念を押した。


夕方、弁護士の友人に会い食事をしながら今日の話の結末を聞いた。


相手もそこそこ大企業の課長という立場ある男だ。


今の立場を失うかもしれない、職も……となればこれ以上の危険を冒す人間はそうそういるものではない。
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