最後の恋 【番外編: 礼央目線】
こちらが証拠を握っていることと、いつでもそれを武器に戦える姿勢を見せると男は、「もうしません。許してください。」と土下座までしたと言う。


こちらも鬼ではないから今回だけは穏便に済ませるが、もし万が一次があった時はその時は………


そして念書を書かせ、今回のストーカー事件は幕を閉じた。


帰り道、真斗から久しぶりに電話がかかってきた。


今、気づいたが1時間ほど前にも着信があったらしい。弁護士との話に夢中で気づかなかった。


『どっか出かけてんの?』

「ああ、今から帰るところだけどな。さっきも電話もらってたみたいで悪いな。何か用だった?」

『紫乃とお前のマンションに行ったんだけど留守みたいだったからさ。』


紫乃と…?


そう言えば以前真斗に会った時、次は紫乃と一緒に行くからと言われていたことを思い出した。


「そっか…せっかく来てくれたのに悪かったな。また今度ゆっくり会おうって紫乃にも伝えといて。」


そう言って電話を切ったけど、マンションに杏奈もいなかったのだろうかとふと思った。

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