最後の恋 【番外編: 礼央目線】
ーーーコンコンとノックが鳴らされた。


返事がない事で誰もいないと確認したのか、ゆっくりとドアが開けられた。


部屋に入って来たはずの彼女が、窓際に立つ俺を見て息を飲んだのを気配で感じた。


しばらくの沈黙の後、


「……おはようござい…ます。」


この週末に散々、俺を無視し続けた彼女がここでは上司である俺にそう声をかける。


本当は仕事とプライベートは区別するべきだと分かっているし今までもそうして来た。


だけど、今は……


それには返事をせず、外に向けていた視線を彼女へと向けた。


彼女の体が緊張で固まるのが分かった。


再会したあの時とは、全く別の意味で………
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