小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「キミ、そこにいるんだね?」
耳を澄ますと、間違いなく図書室の中から物音が聞こえた。
1度戸を引いてみても開かない。
そこには、外からしっかりと鍵をかけられていた。
その鍵を解除して、戸を開くと、キミはそこで小さく震えていた。
「うぅ、結城……くんっ」
「よかった。本当に、よかった」
……無事だった。
見たところ、直接身体に何かされた様子はない。
今も探し回っているであろう大和と宮野さんには、大和を通して"見つけた"と連絡を入れておいた。
安心したのか、その場で泣き崩れる須藤さん。
「ごめん……」
きっと、須藤さんがこんなことになってしまったのは僕のせいだ。
教室を飛び出す前、"もしかしたら……どこかに閉じ込められているかもしれない"そう言ったのは、いつも僕の周りにいた女の子だった。
ごめん、ごめん。
きっと許してなんかくれないかもしれない。
だって、キミは僕のことは嫌いだろう?
それでも、何とか許してもらえないかと……
気持ちが少しでも伝わらないかと。
何度も謝罪の言葉を口にして、何度もキミの背中を摩った。