木村先生と和也君
両親
「彼女連れてくるとは聞いていたが,まさか和也があの先生連れてくるとはな」

父さんが呆れたように言う。

「別に父さんは俺らが付き合うこと反対しないでしょ」

「まぁ父さんはお前の気持ちも分かるからな。」

母さんと父さんの年齢差は8歳。

俺と先生ほどじゃないにしても,結構離れている方だと思う。

二人の馴れ初めはよく聞かされる。

大学生だった父さんが,母さんに一目惚れして猛アタック。その後二人は付き合うことになり,父さんの卒業と同時に結婚して,すぐ俺が産まれたらしい。

だから,父さんが反対することはないと踏んでいた。

「なら,もったいぶらずに素直に俺らのこと応援してくれればいいのに。」

「一応母さんの顔色も伺わないとな」

母さんの方が年上だからか,父さんは母さんに逆らうことはない。

「母さんと何か話した?何か言ってた?」

「母さんも驚いてたよ。反対はしてなかったけど,さすがに先生っていうのは抵抗があるみたいだった。」

俺は少しむっとした。

「母さんが抵抗あるとかないとか関係ないだろ。俺が好きになって俺が付き合うんだから」

「お前が大人ならな。今はまだ高校生なんだから親が監視する義務がある」

「18になったら俺の自由になる?」

「まぁそうだなぁ。18になったら,お前の責任で自由にやれ。だけど,年齢関係なく,責任がとれないことはするなよ。」

「責任がとれないってどういうこと」

「そりゃ,お前,子供ができたりとか。」

父さんは少し言いにくそうに言う。

「子供できたら責任とるよ」

「金稼いでもないのにどうやって責任とるんだよ。だからお前はまだ親に監視されるんだよ」

急に重い話になって俺は何も言えなくなる。

確かに子供を育てるとかそんなことはまだ子供の俺には考えられないけど,付き合うってだけでそこまで考えなきゃいけないことなのか。

俺の周りの奴らはそんな深く考えずに付き合ってるように見えるんだけど。
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