無駄な紅葉は散り濡れる.
逢えなければ
逢えないほど
想いは募ってしまった。

いつのまにか、
東宮の宴の日になってしまっていた。

女房に舞台へと
案内される。

お辞儀をして
顔を上げた時だった。

東宮の隣にいた男と
目があった。

驚いた表情の愛しき人
あの人の口が
あたしの名前に
動く。

一瞬出てきた疑いは
すぐ消えた。

征人があたしを
東宮に売ろうとしたわけじゃない
征人はしらなかったんだから。



その瞬間喜びとともに
悲しみは
一層深くなる。


< 23 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop