全ての記憶を《写真》に込めて


そして、宿題に手をつける。
数学は好きだから、スラスラ解けた、けど……。

「ねぇ、ここおかしい」
「ごめんなさい……」
古典が全くわからない。


「あんた勉強できるんじゃないのぉ」
「…古典だけは苦手なの」
「へぇ、意外」

しかも……、なんだろう。
思い違いかもしれないけど、晴くんとの、距離が……。

「は、晴くん… ちょっと近い、かも」
「あ、ごめん」
「別に晴くんが嫌いなわけじゃないからね!」
「好き嫌いとかそんなこと誰も聞いてないけどぉ」
と、ニヤニヤしながら晴くんは言う。

うぅ、なんか晴くんにからかわれたり、振り回されたりしてばっかだ。
「なんだろう……、負けた気分」
「ん?」
「…晴くんって本当にすごいね」
「はぁ?」
意味わかんない、と言う。
「だって晴くん、運動もできて勉強もできて容姿完璧ですごく優しいんだもん」
「容姿は認めるよ、モデルやってたしさ でも、俺にだってできないことあるけどぉ」
「え、何?」
晴くんは完璧なイメージだからすごく気になる。
別に知ってもとくしないと思うけど、と言われるけど、晴くんは私の苦手なこといっぱい知ってそうだし……。
「まぁ、別に知られても困らないし…… 俺は絵が描けないんだよね」
「え?」
「絵を描くとどうしても特徴をつかみきれないんだよねぇ」
と、呟く晴くん。

「えへへ、なんか、意外だなぁ」
「どういう意味?」
「なんでもできそうなのになぁって」
「好き嫌いはあるでしょ」
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