全ての記憶を《写真》に込めて

少しの異変

「彩月、お父さんたちは来月まで休みとったから一緒に暮らせるぞ〜!!」
「紘ちゃんやめてよ、お友達もいるのよ〜」


結局、倒れたあと病院へ連れていかれたらしく目が覚めたのは病院だった。

「お父さん、痛い…」
「だって、彩月久しぶりのハグだぞ!」
「いや、ちょっと、でも……」
晴くんからの視線が痛いんです、と言えるはずもなく。

すると、ゆっくりと近づいてきた晴くん。

茉莉ちゃんはニヤニヤしている。
翔くんはため息をついている。


「あの、“お義父さん”、そろそろ彩月離してもらってもいいですか?」

すごくいい笑顔で。


「お、おとっ、お義父さん……っ!?彩月!この子とはどういう関係なんだ!」
「落ち着いて、お父さん!」

お兄ちゃんと全く同じ反応を見せる。
そして、お母さんの元へ泣きつきに行く。
前の勇ましいお父さんの面影なんかはない。


_______________フワッ。


「えっ、」
「家族内だとしてもちょっとは妬くんだからねぇ」
ボソッと、耳元で呟かれる。
そこがくすぐったくて、熱があつまる。

全く…っ。
晴くんはずるいよ!

「晴、その辺にしろよ〜、せっかくの家族の再開らしいんだからさ」
「あ、いいわよ〜 彩月の幸せが私たちの幸せ 二人でラブラブしちゃってね」
じゃあ先に家に行ってるわ、とお父さんを連れて出ていくお母さん。

「彩月ちゃんのお母さん、なんかすごいね」
「自由気ままな人だから…」

今日から、お母さんたちとも一緒に暮らせるんだ。
お兄ちゃんは来月のはじめの方に戻ってくるみたいだ。

「彩月は明日までだもんね、入院」
「うん!茉莉ちゃんたちは今日は休みだったもんね」
「そうだよ〜」


学校いったらまた卵焼き、作ってあげようかな。
なんなら、お弁当も……。


なんて、先のことを考えると頬が緩んでしまう。
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