愛されたいのはお互い様で…。
部屋に居るとは答えなかったけど、…留守とはな…。
靴屋に行ってるって事か…。
勝手に、さようなら、なんて…メールで終わらせて…。終わったと言って終わらせようとしている…。
俺の宿題は別として…その癖、何も無かったみたいにメールはして来る。
何か?もう親しい男友達みたいに思ってるのか?
何も無かったみたいにかどうかは解らないか。字面に感情は現れないからな。…泣いてたって反対の事は言える。
…何で俺は紫の部屋に来たんだろ。現実を突き付けられに来たのか…。こうして居ない事を確認して、行き先はどこなんだと連想するように考えさせられて。
宿題なんて出して…未練たらたらって…丸出しじゃないか。これじゃあ、ストーカーだよ。
エレベーターに乗り、下に降りた。
丁度、人が待っていた。
「…今晩は」
「…今晩は」
譲り合うようにして入れ代わった。
……凄いな。花を持って訪問か…。顔が隠れる程大きい花束だな。
業者の配達じゃないよな。時間も時間だ。
日付けを跨ぐくらいの…サプライズなのかな。誕生日とか、記念日ってやつか。
小っ恥ずかしいよな、…これって。持って歩く距離があると、恥ずかしい恥ずかしい…。
俺はもう、こんな風に日付跨ぎで紫にプレゼントを渡す事も出来ない訳だ…。
…待てよ。
俺はエレベーターが停まる階を確認した。
…同じだ。紫の部屋がある階と。…あ、でも。どの部屋に行ってるかなんて解らないか…。でも、紫は今、居ないはずだ…。
俺は走った。走ってマンションを後にした。
まだ間に合うかも知れない。居る。紫は居る。
俺の部屋に行ってるんだ。