愛されたいのはお互い様で…。

止まって見つめられたと思ったら、顔を包むようにしてまた甘く食まれ始めた。ゆっくり下唇だけを食み、上唇を食んだりと、繰り返えされた。唇を重ね、頬に触れ、また柔らかく食む。…はぁ、…もう、胸が苦しい、息が上がりそうだ。

「ん……貴女が自分から少ししただけで、私はこんなに止まらなくなるんです。…可笑しいですか?こんな大の男が、歯止めが利かないなんて…。それだけ思いが溢れるのです。思ってくれている気持ちが解るからです。少しでも気持ちが伝わり合った事が…凄く嬉しいのですよ?」

髪を梳くようにして撫でられた。…伊住さん。

「服を…脱がせてくれますか?」

…ドキッとした。その表情が、無理ならいいですよ、と、また言われている気がした。
伊住さんの胸に手を当て、首元に手を伸ばした。既に二つ開いている下、ボタンを一つずつ外していく。はぁ。
…前が全部開いた。一つ一つ外していく行為が、こんなにドキドキと色っぽいなんて…。顕わになった伊住さんの胸は逞しくて…綺麗で…。普段の柔らかい物腰からは想像し難い引き締まった身体だ…。ずっとドキドキしていた。あとは伊住さんが自分で袖を脱いだ。私はどうしたら…。

「服のボタン、自分で外してみて…」

…戸惑いはある…戸惑いつつもブラウスの上のボタンから外した。下まで外す頃には伊住さんの唇が胸元に触れ、ブラウスを掴んでいた手を上から握られた。そしてそのままゆっくり開けられた。……はぁ。
ゆっくりとした動作、焦らすように急かない事が、こんなに胸を高鳴らせるなんて…。この後はどうしたら…考えてしまう事が、気持ちを更に高ぶらせてしまうんだ。

あぁ…私は、性格同様、…こういう事も、どこか冷めたつまらない女だったのかも知れない…。だとしたら…。務…。

「私を見て…後は私が…」

そう言って唇が耳に触れた。胸が凄くドキドキしてるようですね、少し高揚しましたか?…囁かれて耳を食まれた。…はぁ。素直に、はい、と答えて、ゆっくりギューッと抱きしめた。

「ぁ…紫さん…煽りますね…嬉しいですよ」

「伊住さん…」

伊住さんの首筋近くに唇を触れさせた。溜め息のような色気のある声が漏れた。首は弱いのかも知れない。

「…ぁ、…これは何とも……沢山虐めますよ…」

伊住さんは唇で身体に触れながら、抱きしめていた手はもう私を翻弄していた。
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