クールな外科医のイジワルな溺愛

お皿を持って立ち上がった瞬間、勢いがつきすぎて思わず右ひざに重心をかけてしまった。完治していない傷に電流のように痛みが走る。

「い、いたたた……」

ずらした椅子に寄りかかり、歯を食いしばる。お皿はテーブルに戻した。

「バカ、大丈夫か」

「ええ、ちょっと痛いだけです」

完全に油断した。左足で立っていると、黎さんが立ち上がった。

「洗い物は置いておいていいから。あっちで休んでろ」

「わっ、きゃあ!」

どうして近づいてくるのかと思ったら、さっとお姫様抱っこされてしまった。しかも初めてじゃない。黎さん、やたらお姫様抱っこに慣れていませんか?

わたわたするうちに数歩移動して窓の近くにあるソファにゆっくりと下ろされた。まだ食事中の黎さんもなぜか隣に座る。

続きを食べないのか聞こうとした矢先、音もなく黎さんの右手が動いた。その動きを目で追っていると、すぐに指先が視界から外れた。大きな手のひらが私の頬に触れている。

黎さんに目を覗き込まれて、心臓が喉の入口まで跳ねた。そんな気がした。

恥ずかしくて動揺しているのに、目を逸らすことができない。熱くなっていく頬の熱を感じる。何も言えないでいると、黎さんが口を開いた。


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