掃き溜めに鶴
掃き溜め
久しぶりに悪夢を見た。


内容は覚えていないが、何故か幼少期に叔父から聞いた話が頭に浮かんだ。


知り合いから譲り受けたパイプのベッドは、少しでも動くとギシギシと嫌な音を立てる。


「良いものと悪いものねぇ……。
実際のところ、そうかもしれねぇな。」


俺は、悪いものの思惑通りにここまで来てしまった。




“眠らない街”とこの街が呼ばれ出したのはいつの頃からなのだろうか。


ビルとビルの間の小さなボロアパートからは何も見えないが近くの大通りの音が聞こえる。


エンジンの音、タイヤが擦れる音、鳴り響くクラクション。


窓から入り込んだ生ぬるい風がカーテンを開け、光が部屋に入ってくる。


扇風機の音だけが俺のものだった。


「……コンビニに行くか。」


クーラーはあるがそれを一晩中付けられるほど俺の財力はない。


暑さから逃げるように部屋を出た
< 2 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop