お見合い相手は、アノ声を知る人
古くて苔生した墓石の真ん中には、『小早川家累代之墓』と掘られてある。
「墓石の裏に回ってみろよ。一目で自分の先祖の墓だと分かるぞ」
ニヤつく彼の顔に首を傾げながら、手を離してもらって後ろに回った。
墓石の後ろには名前が彫られてあって、よく見ると『小早川一明』とある。
自分と同じ『明』の字を使ってある名前。
これがそうなの?とぼんやりと眺めて考えた。
「どうして明の字が使われてるか分かるか?」
側に来た彼が聞き、その顔を見上げなら「さあ?」と言った。
じっとしてると藪蚊に刺されそうだと言う彼に手を引かれ、墓石の正面に回った。
「とにかくお礼参りをしよう。こうして数代先で、俺と明里が会ったことに感謝して」
そう言うと墓石の前にしゃがんだ。
彼に合わせるように膝を折り、一緒に手を合わせて拝んだ。
不思議とその瞬間から怖さが消えた。
護られてると言うと変かもしれないけど、何となくそんな気持ちになれた。
「……明里の先祖が小早川家に来なければ、俺は多分ここには居なかったかもな」
「墓石の裏に回ってみろよ。一目で自分の先祖の墓だと分かるぞ」
ニヤつく彼の顔に首を傾げながら、手を離してもらって後ろに回った。
墓石の後ろには名前が彫られてあって、よく見ると『小早川一明』とある。
自分と同じ『明』の字を使ってある名前。
これがそうなの?とぼんやりと眺めて考えた。
「どうして明の字が使われてるか分かるか?」
側に来た彼が聞き、その顔を見上げなら「さあ?」と言った。
じっとしてると藪蚊に刺されそうだと言う彼に手を引かれ、墓石の正面に回った。
「とにかくお礼参りをしよう。こうして数代先で、俺と明里が会ったことに感謝して」
そう言うと墓石の前にしゃがんだ。
彼に合わせるように膝を折り、一緒に手を合わせて拝んだ。
不思議とその瞬間から怖さが消えた。
護られてると言うと変かもしれないけど、何となくそんな気持ちになれた。
「……明里の先祖が小早川家に来なければ、俺は多分ここには居なかったかもな」