お見合い相手は、アノ声を知る人
しゃがんだまま顔を上げた彼がそう言って墓石を見つめる。
奥深いその言葉に声も発せず、そうか、そうなるんだ…と思った。
「明の字は、小早川の早にある日と月野家の月とが合わさったものだ。縁あって一つの家族になれたという意味から付けられた名前らしいぞ」
「それで一明(かずあき)さんなの?」
墓石の主の名前を口にすると、微笑まれた。
「『かずあき』じゃなくて『ただあき』と読むんだって。俺も小学生の頃間違えて、ジジイに教えられたんだ」
幼い頃の記憶を思い出した彼は、ややこしいよな…と呟く。
そんな彼に視線を送り、そうね…と囁いてから視線を前に向け直した。
「……俺、あの見合いの日に月野家の子孫と見合いをしろといきなり言われて面喰らったよ。
その時一瞬、頭の中に明里の泣いてる姿が思い浮かんだから」
「私が?」
「真っ暗なマンションの玄関先で怯えてた姿が反芻されて、見合いを直ぐに断ろうとしたんだ」
「どうして?」
「なんて言うか、あの時の明里に心を奪われてたって言うか、おかしな話だけど、何とかしてやりたいと強く心を動かされたんだ。
奥深いその言葉に声も発せず、そうか、そうなるんだ…と思った。
「明の字は、小早川の早にある日と月野家の月とが合わさったものだ。縁あって一つの家族になれたという意味から付けられた名前らしいぞ」
「それで一明(かずあき)さんなの?」
墓石の主の名前を口にすると、微笑まれた。
「『かずあき』じゃなくて『ただあき』と読むんだって。俺も小学生の頃間違えて、ジジイに教えられたんだ」
幼い頃の記憶を思い出した彼は、ややこしいよな…と呟く。
そんな彼に視線を送り、そうね…と囁いてから視線を前に向け直した。
「……俺、あの見合いの日に月野家の子孫と見合いをしろといきなり言われて面喰らったよ。
その時一瞬、頭の中に明里の泣いてる姿が思い浮かんだから」
「私が?」
「真っ暗なマンションの玄関先で怯えてた姿が反芻されて、見合いを直ぐに断ろうとしたんだ」
「どうして?」
「なんて言うか、あの時の明里に心を奪われてたって言うか、おかしな話だけど、何とかしてやりたいと強く心を動かされたんだ。