恋するオフィスの禁止事項 ※2021.8.23 番外編up!※
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休憩室にいると、商品開発部・コスメ部門の浅見さんが隣にやってきた。
部門が違うとオフィスも違うため普段は会えないけれど、彼女は隙あらば私に桐谷さんの話ばかりするのだ。
「水野さん企画やるって聞いたから、ついに一人立ちかと思ったけど、桐谷さんずっと付きっきりだね。いいなぁ、私も桐谷さんとバディ組みたーい!」
浅見さんからは、Slow Lifeコスメシリーズの新作、『ふわりコロン』のナチュラルな甘い香りがしている。
「あの、浅見さん。たしかに先輩に育ててもらってますけどバディとかそんな大層なものじゃないです。ホント、私がダメダメなので迷惑をかけてるだけで……」
「そんなことないよぉ、よく桐谷さんのスパルタについていってるって評判だよ。女性社員の僻みも減ってきてる」
浅見さんは素直すぎるくらいに羨ましさを態度に出してくれるから話しやすい先輩だけど、私が桐谷さんにいつまでもフォローしてもらっていること、密かに妬んでいる人はたくさんいるはずだ。
「私も桐谷さんと同じ雑貨部門が良かったなぁ。コスメはもういいから、早く次の異動出ないかなー」
彼女の言ったことがピンとこなくて、私は聞き返した。
「どうしてですか?コスメ部門は浅見さんの企画商品の売上ダントツじゃないですか。すごく向いてると思うのに」
「え?そんなの、桐谷さんがいるチームに行きたいからに決まってるじゃん。別にコスメが絶対やりたいってわけじゃないし、あんなイケメン上司がいれば雑貨でもインテリアでもなんでも頑張れるって」
「えぇ、そんな不純な理由で……」