こんなの心臓もちません!
「大丈夫だよ、千紘はその……
そういうのじゃないと思うから」

『…思う?』

鋭い声。

思わず受話器を持つ手がびくりとする。

『……ほんとに好きじゃない?』

どこか、胸の奥をざわつかせる。

好きじゃない。

千紘は意地悪だし、ちょっと俺様っぽいとこもあるし、

……意外と優しかったり、かっこいいなって思うことが、

最近ちょっと多いってだけ。

「……うん、好きじゃないよ」

『……。そっか。
そうだよね、千紘くんとしてもありえないよね」

ドクン……ドクン……

……嫌な音。

こんな音を立てる理由なんて、私にはないのに。

『近づいてほしくないのよね……』


< 107 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop