孤独姫

「で、帰っていい」


「だめだ」


このくそ俺様が!
ならないって言ってんだから
帰らせろよな…

そんなに姫がほしいなら
他を探せよな
探せば、1人ぐらいは
こいつらに媚び売らないやつが出てくると思うのに…


「…ほんとめんどい」


「舞里、お前、帰るとこねぇーだろ」


…なんで勘がいいのかな

帰るところはないけど
ここにいるよりは
そこらへんで寝たいんだけどな


「当たりか」


「ならさーここに住めばいいよー」


「……絶対イヤ」


帰るとこなんてない
けど、ここにいたら
私が私でいられない気がする


「とりあえず今日は泊まりませんか」


「……なんで」


「もう、夜遅いですから」


外を見るともう、真っ暗だった
部屋の時計はすでに、夜中の2時を回っていた


「……今日だけなら」


この時慎哉が笑っていたことを私は知らなかった
そして、これを後悔するのは
すぐ後のことだった…

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