* allergenic *
「待って下さい。碧斗腕が痛いです…」

「あっ、すまない…」


はっとして、慌てて腕を解放される。


「碧斗?」

「とりあえず、取引先に向かうぞ。遅れるのは不味いからな…。」


余裕のない課長の顔で 取り繕うが いつものクールさは全くない。

取引先では さっきまでの碧斗はどこへ?涼しい横顔は格好いい、クールないつもの課長だ。

どこの取引先でも お茶出しに来た女の人が 碧斗を見て赤い顔になっている事は いつもの事。

心の中で毒づく…だけど碧斗は女嫌いなんだよね…あれ?それならなんで 私を必要以上に構うんだろうか?

いつの間にか 話が終わっていて、

「清水さんと深町さんの二人は 本当に芸術品の様に綺麗でずっと見ていても飽きませんね?」

「ハハ…それ商品に言われたいですね。次回 うちでの提案に期待して下さい。」

「よろしくお願いします。」


碧斗は嫌味なく話をするのが上手く いつも感心する。無事に仕事も終わり 今は車に乗って帰社途中。


「優那どうした?」

「え?」

「ぼんやりとしている様だが、疲れたのか?今日は定時後に二人で話をしたいんだ…時間と体調は大丈夫か?」

いつもより随分と優しい言葉と態度の碧斗に違和感を感じる。だけど、それを指摘し 意地悪な碧斗に戻られても困ると思い 普通に答えた。


「体調は大丈夫です。時間はありますが、神谷君とに帰る約束だけしているので、家に着いてからでもいいですか?」

「ああ、わかった。」


今日はまた後で碧斗と会えるんだ…
顔が熱くなってきそうなのを 別の事を考えるようにして 心から忘れる事に専念した。


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