私が君に好きって言えない理由
「なつ〜帰るぞ〜」
「あ…っ、うんっ」
慌ててカバンに全ての荷物を入れると、れいに駆け寄った。
「それでさぁ、可愛いんだよ、ゆりちゃん。」
「おはようって言ったらさ、天使の笑みだよな、あれ。」
「あああ、俺のこと好きになってくんねーかな〜」
一緒に下校するのはいつものこと。
そして、惚気のような相談を受けるのもいつものこと。
「はぁ……」
「どうした?体調悪い?」
思わず零れたため息に、即座に反応するれい。
ゆりちゃんゆりちゃんってそればっか。
今隣にいるのは私だよ?
少しくらい私のことみてくれてもいいじゃんか
なんて、そんなこと、言えるはずなくて。