女トモダチ

感傷

怜音先輩がセイラに告白をしたという噂は瞬く間に校内を駆け巡った。

二人が結ばれれば校内きっての美男美女カップルが誕生するということもあり、クラスでもその話で持ちきりだった。

「神条さん、怜音先輩に返事したの?」

「え……?ううん、まだだよ」

「えーーー?どうして?考えるまでもないでしょ~?」

「でも、私先輩のことあまりよく知らないから……」

「そんなの付き合ってから知っていけばいいじゃん!先輩の気が変わらないうちにちゃんと返事しなよ~?」

部外者であり普段はセイラに声なんてかけないはずのクラスメイト達がセイラの机を取り囲み、自分が怜音先輩に告白されたかのように盛り上がっている。

バカみたい、と心の中で悪態をつく。

こないだまであたしとハルトが付き合ったという話題で盛り上がっていたくせに。

情けない。

自分に恋人ができないからって人の恋に首を突っ込みたくなるんだ。


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