女トモダチ
って、まさかね。ハルトに限ってそんなことありえない。

付き合い始めてからも、ハルトはあたし一筋で一度だってそんな兆候を見せたことがないし。

「フフッ、まぁね~!てか蘭は好きな人とかいないわけ?」

「あたし~?いるにはいるけど、ずーっと片思いだし」

「え~?そうなの?どんな人なの?」

蘭と深い話をしたことがなかったあたしはそれからしばらくの間、恋バナにはなを咲かせた。

クラスの中心人物で誰とでも気兼ねなく話せて顔の広い蘭との会話は新鮮で楽しかった。

セイラとはできないバカ話もしたし、セイラでは困ったように顔を引きつらせてしまう下ネタも蘭とならできた。

そのとき、休み時間の終わりを告げるチャイムが教室中に鳴り響いた。

「てかさ、今度真子が暇な日一緒に遊ぼうよ!あっ……もちろん、セイラも一緒でいいからさっ!」

セイラも一緒に……?蘭が気を遣ってそう言ってくれていることは分かっているけど、心の中で天使と悪魔がケンカをする。

結局、悪魔が勝った。

「あたしは蘭と二人がいいかも。ダメ……?」

たまにはいいよね。セイラ以外の子と二人で遊んだって。

「いやいや、真子がいいならあたし的にもそっちのほうがいいんだけど」

蘭の言葉と同時にセイラが教室に戻ってきた。

その顔はどこか緊張しているものの、頬はピンク色に染まっている。

やっぱり告白されたんだ。瞬時に悟った瞬間、頭の中がカーっと熱を帯びた。

「二人で遊ぼう。セイラ抜きで」

そう言ったあたしの声は自分では聞いたことがないぐらい固く冷たかった。
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