女トモダチ
「真子、そうだったの?」

何故か目を輝かせて自分のことのように喜んでいるセイラ。

やめて。あの男はセイラのことが好きなの。

あたしのことなんて好きじゃない。

アイツに言われた。あたしはいつも二番目でセイラの引き立て役だって。

「ねぇ、真子ってば!黙ってないで何とか言ってよ~?」

蘭があたしを煽る。

「真子、すごいじゃない!どうするの?」

セイラが微笑む。

やめて。お願いだからやめて!!

周りにいるクラスメイト達も野次馬根性丸出してあたしの答えを待っている。

こんなの晒しあげ以外の何物でもない。

あたしは彼に告られてもいないんだから。

心の中のシミが更に大きくなる。

あたしをこれ以上惨めな気持ちにさせないで!!!

拳を握り締めると、あたしは吐き出した。

「――だから違うって言ってるでしょ!?あんな最低最悪な男と付き合うはずもないし、あんな奴にファンがいること自体が信じられない!!」

自分でも驚くぐらいの声がでた。

教室中が水を打ったかのようにシーンっと静まり返る。

これでいい。これでよかったんだ。

ようやく蘭の尋問から解放されると胸を撫でおろしているあたしに周りからの冷たい視線が突き刺さる。
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