Memory Puzzle
でも、ダメだった。俺には何も出来なかった。アイツは俺を変えたのに。

「すばるくん!何ぼーっとしてるの?」
「ごめん。ちょっと、考え事してた。行こうか、美花。」
俺は人を愛する事を、知った。アイツが、それを俺に教えてくれた。アイツは見てくれているだろうか?俺がまさか、お父さんになってるなんて思ってもいないだろうな。
「パパ!わたしのすきなうた!きいて~!」
美花の腕のなかではしゃぐ4歳の音。でも、その曲に驚いた。『波の彼方』音が歌ったのはこの曲だったから。いつこの曲を知ったのだろうか?アイツの事を題材にした映画で使われた曲。もう古い曲なのに…。

時音、お前が教えたのか?なら、ホントに見守っていてくれ。俺にとってお前との思い出は苦い思い出。だけどお前と過ごした日々は、俺を変えた。大切な思い出だ。良薬は口に苦し。そういうだろ?守ってあげられなくて、助けてあげられなくてごめんな。好きだったよ。時音。ありがとう。
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