恋をするならきみがいい。


すると笹原は作業を止めて私を見た。

窓から射し込む夕焼けが眩しくて暖かくて、笹原のまっすぐな瞳がキラキラとしている。


「俺さ、こんなに誰かに好きって言われたの初めてで、なんていうか……上手く言えないけど誰かに好かれてるってすげえ安心するんだなって知った」


人を好きになることは簡単じゃない。

だから失恋した時に自分を否定したくなる。

必要とされてない、求められてない、好きな人の好きな人になれなかったって、

そういう気持ちがグルグルと残ってしまう。


「情けないけど小野寺が何回も〝好き〟って言ってくれて前を向く勇気が湧いた。このままじゃダメだなって小野寺に教えてもらったよ」

その言葉に鼻の奥がツンとした。


手を伸ばせば触れられる距離にいて、

顔を近づければキスだって出来てしまうかもしれない。


でもそれをしていいのは両想いの人だけで、
片想いの人はその一線を越えてはいけないのだ。
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