これを愛と呼ばぬなら

 大学受験を控えた高3の夏、私は思うように成績が伸びず悩んでいた。そんな私を見兼ねたのか、夏休みを前に父が家庭教師を見つけてきてくれた。

 来てくれることになったのは、父が仕事関係の伝手で見つけて来た人で、国立大の教育学部に通う大学生だった。私以外にも数人生徒を持っているそうで、将来は教員になりたいのだと言う。

 先生はとても教育熱心な人で、時には時間を過ぎても私がきちんと理解するまで教えてくれた。私も先生の期待に応えるべく、その夏は勉強に打ち込んだ。

 先生の教え方が良かったのだろう。私は砂地が水を吸い込むように様々なことを吸収して、夏休み明けのテストでは自分でも驚くような成績を収めることができた。
 

 私は先生にとても感謝していたし、心から尊敬していた。恩師として。
 
 しかし先生が私に向ける感情は違っていた。

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