きみの見える景色には桜とわたしであってほしい。
嫌い
11月。


彼とは図書室で以来、会っていない。


中学生の男女関係なんて、所詮はこんなものだ。


いつもと何も変わらない毎日に憂鬱になりながら、自販機でホットココアを買った。


ゆっくりと伝わってくる熱はどうにも無機質で、悲しくなった。


彼と恋人になったら、こんなものなんていらないのに。


ギュって握って、離さないのに。


最近、付き合うまでを考えるより、付き合った後を妄想してしまうようになった。


叶いそうにない恋をして、現実から目を背けてしまいたくなったのかもしれない。


こういう時に、勉強はいい。


余計なことはなにも考えなくて済む。


恋に全力でもそこは一受験生。


勉強もしなくてはならない。


受験生の特権を活用して、今日は早めに塾に行って自習をすることにした。

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