41才の中学2年生

ジジイ、取り引きしようぜw


【こりゃ!】

オレ「うぎゃ~っ!!頭が痛えっ!割れる~っ!」

【お主、あの少年をイジメてるだけじゃないか!】

ジジイ!テメー、この輪っかを外せ!スゲー痛えんだぞ、おいっ!

『また一人で暴れてる…』

『おい、アイツ病院連れてった方がいいんじゃないのか』

オレ、かなり危ないヤツだと思われてんじゃないのか?

龍也「おい、山本。お前、朝から変だぞ…」

ったく龍也にまで心配されてんじゃねえかよ、ったく。

オレ「あぁ、痛ってぇな…おいジジイちょっと来い!」

オレはジジイをトイレに連れ込んだ。

あのまま教室でジジイと話してたら、見えないヤツと話してる危ないヤツだと思われて、こっちがシカトされちまう。

【何じゃ一体、こんな感じとこに連れてきて】

何でオレにか見えないようになってんだよ、このジジイは?

「ありゃイジメじゃねぇだろ!こうやって顔に落書きして皆笑ってるじゃないかよ!龍也だって見たろ?今朝と違って今は皆と笑ってるじゃんかよ?ああやって笑いをとってクラスが1つなる!良いことじゃないか、ん?」

【そりゃまぁ、確かにお主の言うとおりなんじゃがのぅ】

何だこのジジイ、意外と頼りねえ仙人だな、そういやさっき上の者に頼まれたとか言ってたよな、確か…

オレ「ジジイ、テメーオレが1日でも早く徳を積めって言ってるけど、テメーの保身の為に言ってんだろ、んん?」

【ば、バカな、何を言うんじゃ、とにかくお主は徳を積む!そうじゃないと元の世界に戻れないぞぃ!】

オレ「え~、別にオレ今のままでもいいかなぁって思ってるけどねぇ」

ジジイは間違いなく焦ってる。
コイツも中間管理職なのかな?
っていうか、仙人の世界にもそんな役職があるのか?

胡散臭ぇ、ジジイだな。
そのうちホラ貝でも吹きそうな感じの装束なんかしやがって!

【何っ、お主戻れなくなるのかも知れないのだぞ、それでもいいのか?】

オレ「ん~、だってオレ、もう一回中2からやり直せるんだぜぇ、こんな経験他のヤツにゃ出来ねえじゃん。別にこのままでもいいかなぁ、うん」

【何と!良いのか?元に戻れなくなるんだぞ!それでもいいのか?】

中学生からやり直せるんだ、オレだって前はよく、「あぁ~あ、学生時代に戻りてぇなぁ」なんてよく言ってたんだし、実際こうやってやり直しが出来てんだ、ある意味願いが叶ったようなもんだろ。

オレ「いいじゃん、別にぃ。もうめんどくせえからこのまんまでいいよ」

【バカもん!お主には徳を積んで早く元の世界に戻らにゃならんのだぞ!】

なぁに狼狽えてんだ、このジジイ。
さっきから徳、徳とうるせえな。

オレ「ジジイ、オレを早く元の世界に戻さないと上の者に怒られんだろ?なぁ、そうなんだろ、おい?」

一瞬ギクッとしたな。

やっぱりこのジジイ、上の者にガミガミ言われるのがイヤで1日でも早くオレを元の世界に戻そうと必死なんだなw

【な、何を言うか!お主戻りたくないのか?もう1度、妻や娘のいる世界に戻りたくないのか?】

…こんなインチキ仙人の口車に乗ってたまるかってんだ、これからがオレの輝かしい青春時代がスタートするんだぜ、このままだっていいじゃん、うん。

オレ「んじゃあ、どうやったら徳を積めるんだよ?なぁ、教えてくれよ」

【そ、それはお主が悪さをしないで真面目で皆から慕われるような…】

オレ「ハイハイハイハイ、要は品行方正、成績優秀、皆の模範になるような人物になれって事だろ?でも考えてみろよ、ジジイ。オレがこのままで徳を積めると思うか?」

フッフッフッフ、このジジイ、テメーの功績が欲しい為にこんな事言ってんだろ、コイツも所詮、中間管理職だ、上の者にギャーギャー言われ、下の者に突き上げ食らって必死になってるだけじゃねぇかwww

【うぬ~、お主このままで良いと言うのか、どうなっても知らんぞい!】

オレ「いいよ~、その代わりジジイが上の者に怒られるだけじゃん?オレ、そんなの全く関係ないしぃ~」

【こ、この男開き直りやがったな…】

焦ってんのがバレバレだっつーの、しかし仙人の世界にも地位とか名誉ってのがあるのか、イヤな世界だな、ホントに。

オレ「で、ジジイ。こっから先は相談だ。あんたはオレを早く元に戻したい、だがオレが徳を積まない限りは戻れない。
そこでどうだ、取り引きしないか?」

【な、取り引きとは一体何じゃ?】

…早ぇとこ教室に戻らねえとな。

オレ「簡単だよ、オレは徳を積めばいいんだろ?だったらその手助けしてくれよ。それならオレは1日でも早く元に戻れるじゃんか?」

【何ぃ?そんな手助けなんて出来るワケなかろう!】

オレ「あっそ!じゃ、この中2生活を満喫しよっと。そうなるとジジイは上の者から言われるんだろうなぁ、《何モタモタしてんだ、早くあの男に徳を積ませるようにしろ!》とか説教食らうんだろうな、ウヒャヒャヒャヒャヒャ!」

【こ、この卑劣な男め…】

オレ「あぁ、そういう事言うんだ、じゃあオレ戻るのやーめたっ!」

さぁ、どうでるジジイ。

【わ、解った解った。で、取り引きとは何だ?】

オレ「簡単だよ、んなもん。この先オレに有利になるようにアドバイスしてくれりゃいいんだよ」

仙人は顔を真っ赤にして怒ってしまった…あちゃ、怒らせ過ぎたかな?ツルッパゲの頭が青筋立てて血管切れそうじゃないか、ワハハハハ!

まぁ、いい。
オレ、このまんまでいいや。

【何っ、アドバイスだと?それじゃお主の為にならんじゃないか!】

オレ「うるへー、オレは別に残ってもいいんだよ?ん?その事をどう上司に報告するんかなぁ、こりゃ見ものだ、ダーッハッハッハッハッwww」

よし、仙人のジジイを論破してやったぞ。

オレ「なぁジジイ。オレも中間管理職だったんだよ、テメーの気持ちも解らないではない。
で、ここで取り引きだ。
オレは1日でも早く元に戻るつもりだから、何か困ったら事があったらそん時は頼んだぞ、なぁ?」

ウヒャヒャヒャヒャヒャ!

このジジイも焦ってやがるw

< 15 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop