はちみつ、ちょっとだけ(完)
「あ、ちょっと待っててください。」
そう言ってカウンターへ入っていった彼。
その姿でさえ 愛おしさを覚えて。
「お待たせしました。知ってましたか?
京香さんがはじめてきたときに…飲んでいた ホットミルク。
あれ、実は僕が作ったんですよ…へへ」
なので今日も作ってみました。
前と味は同じと思います。
そう言ってまた笑った。
「そうなんですか?
あれ、嵐さんが…作ってくれたんですか!」
「実は…。笑顔になってほしいって思って。こっそりマスターに内緒で。
飲んだあと笑顔になってくれたので良かったです。」
この店を好きになった原点。
嵐さんに惚れた日のみるく。
そんな思い出の…品をまさか 本人が作っていたなんて。
やっぱり 私は今 世界一の幸せな時間を過ごしている。そう考えざるを得ない。
だって、こんなの、、
運命…って言っても過言ではないよ。
「みるくには何を入れますか?」
そう聞きつつも その手には はちみつ。
その言葉に 私も笑顔になりながら