へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする
「わっ、ちょっ、メイベル⁉なにっ、そのアンゴラウサギの赤ちゃん!どこで拾って来たのよ⁉」
起床時間の6時を告げるチャイムが鳴りはじめてすぐ、エイミーの叫ぶような声に飛び起きた。
「わぁっ‼ちょっとエイミーなんなのよ⁉朝っぱらから大声出さないでよぉっ」
なんてついつい愚痴を言ってしまったけれど、お陰様でちゃんと起きれたことには感謝しなくちゃいけないか。
眠りからムリヤリ覚まされた重い身体を起こすと、エイミーの見開かれた目線の先が私の枕元にあることに気が付いた。
「いくら可愛いからって寮内に動物なんか入れて、サマラさんとエリノア寮長にバレたらお説教されるわよ⁉」
私の枕元には昨夜ルキから譲り受けた、ふわふわでもふもふな手のひらサイズの小さなウサギが丸くなって眠っている。
「ピーッ」と犬笛にも似た高い声色で鳴くから『ピーちゃん』と呼んでいるのだけれど。
丸々と開かれたエイミーの瞳には、まさにそのピーちゃんが映し出されていた。
「あ……いや、この子はウサギの赤ちゃんみたいだけど違うから。これでも列記とした魔獣だから」
「はぁぁ⁉魔獣⁉もしかしてメイベルがつくったの⁉」
エイミーのまた一段と大きな声が狭い室内に響き渡る。
「あわわっ……サマラさんとエリノア寮長に聞かれたらマズイから!」
急いでベッドから降りると、ベッドのすぐ横に立つエイミーの口を右手で覆い隠した。