エリート同期の独占欲
(さすが営業のトーク)

 わたしは唇を噛んだ。
 SEにはSEの、営業には営業の強みがある。
 立場の違いからしばしば両者は対立する。でも、本当は協力し合うべきなのだ。
 SEといえども、ただシステムを作ればいいわけじゃない。顧客のニーズを発掘して、新しい提案をしなければ生き残れない。菅波の交渉力や、顧客の心をつかむ能力は確かに今のわたしたちに必要なもので。
 菅波がわたしから学ぶと言ったように、わたしが菅波から学ぶこともたくさんあるんだろう。

「洋食屋って、この近く?」
「ああ」
「道教えて。あ、店の名前でいいわ。自分で調べる」
「スタンプカードが貯まってるから、僕も行こう。今月末までドリンク一杯無料だ」
「そんなに通ってるの?」
「会田も多分気に入ると思うよ」

 岸川課では今までずっと私がNo.1だった。
 でも、今期は菅波にNo.1の座を譲ることになる。

「二度目のデートだな」
「違います。一緒にカツレツを食べるだけ」
「そういうことにしておこう」

 四月の夕暮れ、グラデーションになった空の下、わたしたちは並んで歩き出した。
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