【BL】お荷物くんの奮闘記
 最初の二時間はヴェルターが起きている。何度も寝返りをうっていると、火を挟んで反対側に座っていた彼が立ち上がってこちらまで歩み寄る。


「寝ないのか」


「寝ないっていうか寝れないっていうか、色々考えてるとな。……なんか悪いな、代わろうか」


「構わん」


 彼が隣に腰を下ろす。つられて身を起こすと、ヴェルターが顔を覗き込んできた。


「憔悴しているようだが」


「そうか? 別にいつも通りだけど」


「……そこの、仲間が気になるか」


 視線で指された先には、リュータが眠っている。そんなに分かりやすい動揺だったろうか、鈍感なリュータにばれていない程度で安心しきっていたのが間違いだった。

彼がどこまでこちらの内情を推察してきているのか定かではないが、リュータのように何もわかっていないということはないのだろう。


「まあ、気になるっちゃ気になる。まだ全然、分からないことだらけだし……あれで、大切な幼馴染だからな」


「それだけか」


「当たり前だろ。てかそれ以外に何があるって――」


「なら、問題ないな」


 だから何の話だ、と聞き返そうと彼の方を向いて、肩を引き寄せられた。顎を掴まれたかと思えば唇に噛み付かれ、言葉は吐息ごと呑み込まれてしまう。


 ん? あれ、今オレ何されてる?
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