【BL】お荷物くんの奮闘記
 スクロールを二枚手渡して彼女には先に戻っておいてもらう。一枚は予備だ。それからすぐにフィールドマップを確認しながら、移動魔法の構成に入った。


 足下に広がった魔法陣に三人を呼ぶ。転移した先には、ヴェルターの言っていた通りの古びた建物が森の中に建っていた。


 師匠からの記憶ではここまで森と一体化はしていなかったはずだが、経年劣化だろうか。壁には蔦が伸び、入り口は草で生い茂っている。かき分けて扉を開けるしかなさそうだ。


「昔と変わってないなら、この神殿のダンジョン攻略は通風孔を開けたり塞いだりで謎解きをしていくタイプだ。マッピングしていきたいから、先に進みながら色の違う壁があったら教えてほしい」


 三人にあらかじめ伝えておき、扉を開ける。外観こそ古びていたが、内部はほとんど変わりはない。


「えっと、確か最初の石版に書いてある図を覚えておいてその通りに風を流すんだったよね」


「スマホで写真撮れば覚えとく必要ねえけどな」


「ユウジずるい」


「ゲームじゃないんだしいいだろ」


 師匠の頃は確かに石版の図をメモしてから先に進んでいたようだが、せっかくあちらの世界から文明の利器を持ち込めているのだから使わない手はない。


 入ってすぐ、入り口付近に設置された石版を写真に納める。問題なく写真が保存できたことを確認のうえ、ステータスガジェットからダンジョンマップを起動する。

それから石版の位置を四人がかりで少しずらした。がこんと音がして、わずかに下がった床に石版の根本がはまる。
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