【BL】お荷物くんの奮闘記
 続けて繰り出された攻撃は、どうやっても回避不可能だろうという高速の矢羽だった。

レベル・HPともに群を抜いて最弱かつ後衛の自分がまともに食らってもダメージ量はそうなかったことを考えれば、回避不可の弱攻撃といったところか。致命傷を負うことはなさそうだ。


 敵は強いといっても一体だけ。リュータとヴェルターが前に出て前衛ラインを守るようになると、ノアは自然と後衛に付くことになる。

ダメージソースはノアに任せて、自分はサポートにMPを回した方がよさそうである。防御力上昇と魔防御上昇のバフ魔法を発動させ、それぞれ後衛と前衛に重ねがけする。


 途端、狙いすましたかのように天使が魔法を発動させた。攻撃魔法ではなく、ダメージを食らわなかったそれが気になってスマホのステータスを確認する。

せっかくMPをかけて用意したエンチャントがすべて解除されてしまっている。


「うわ、バフ消しかよ!」


 バフ消し持ちならうかつにエンチャントをかけないほうがいいのだろうか。次の攻撃が防御上昇なしで素受けできるのか不安が過ぎった。天使の羽根を中心に光が集まる。


「!」


 一際大きな閃光で放たれた光属性の攻撃はフロア全体を焼く攻撃力で、前衛後衛ともに全員が倒れることになった。

耐久力の乏しい自分はフロアの隅まで大きく吹っ飛んでしまい、部屋の壁に背中をぶつけて一瞬息ができなくなる。


「……ユウジ!」


「バカ、死んでねえから前見ろ!」
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