【BL】お荷物くんの奮闘記
 MP回復薬を口の中に放り込む。

天使がまた攻撃モーションに入り、魔法によって稲妻が繰り出された。

前衛に向けて放たれたそれらを、二人が寸でのところで回避する。

雷撃を回避するってすげえな、と前衛の身体能力の高さにしみじみ感動しつつ、防御力上昇のエンチャント魔法を再び構成する。


 バフのかけなおしの直後、天使による回避不可の弱攻撃が襲ってきた。バフのおかげで被ダメは一桁だ。

このままバフ消しのことは忘れてくれるとありがたいのだが、と思った直後に敵がバフ消しを使用した。くそまたかけなおしかよ。


 二連続の強攻撃は誰が受けるにしても防御力上昇の類のバフはかけておきダメージ量を軽減したい。しかし、相手にはバフ消し技がある。

バリアーの類の全解除がいつ使われるのか分からない限りは――いつ使われるのか?


「……そういえば」


 天使を召喚して一回目の攻撃は、通常攻撃だった。

こちらは後衛含め、誰が狙われても全員が回避可能なもの。

二回目が属性攻撃。

雷は魔防御の足りない前衛を狙ってくるようで、魔防御の高い後衛が代わりに受けられればダメージにはならないのを知っていて攻撃を仕掛けているようだった。

三回目に回避不可の通常攻撃がきた。

防御最低の自分でもダメージは僅か。

そして四回目でバフ消しが来る。被ダメは無い。


 ここまで、自分が吹っ飛ばされて以降の敵の行動パターンと序盤の戦闘で食らってきた攻撃とで順序が合致している。


 ということは、ひょっとして。確信めいた予想にたどり着くと同時に、急ぎ全体にバフをかけ直した。
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