【BL】お荷物くんの奮闘記
「平気だよ。ユウジは、おれと違って約束破ったことない」


 信じろって言われたから。ここは任せたって言われたから。

彼が自分にその役どころを求めるなら、自分の取る行動はひとつしかない。指し示された道ははじめから、ひとつだけだ。


「今、おれたちにできることをしよう」


「……荷が重いなら引き受けるが」


「重くていい。ユウジはおれの魔法使いなの」


「なら、次に捕まえたら目を離すな。奴は隙しかないぞ」


 先が思いやられる、と呟いたヴェルターの言葉は、誰に向けたものなのかがよく分からなかった。


「カインに話を聞きたいよ。どうしてこんなことをするのか。まるで進んでみんなに嫌われようとしてるみたいで、おかしいもの」


 脇をすり抜けるように一条の光が後ろから前方へ伸びていく。撃ち上げと同時に爆発を起こした光は、空に待機するハーピーたちをまとめて地上へ打ち落とした。ノアの攻撃魔法だ。


「そういうことなら、オレの目的もユウジ様の救出だ。一旦は、君について行こう。ひとまずの目標は魔王城でいいね?」


「ノア……うん。ありがとう」


 そうと決まればこの戦い、守りきるのではなく、敵の殲滅を主軸に考える必要がありそうだ。



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