【BL】お荷物くんの奮闘記
「ていうかMPからっぽでオレどうしようもねえわ。悪い」


 完全に無策で来てしまった。

ジェット機の窓から眺める景色よりは高度は高くなさそうだが、明らかに落ちたら即死である。


「なんで追ってきたんだよ! ユウジまで死ぬことないのに」


「何も考えてなかったんだから仕方ないだろ。なんとかしろよ」


「そんなこと……!」


 我ながらだいぶ無茶振りをしている。それは分かっているから、首を振る彼に笑みを見せた。


「おまえでもこの高度から落ちたらさすがに無理か。

じゃあ仕方ねえ、一緒に死ぬか。

……おまえとなら、オレは別にそれでもいいぞ」


 好きなやつと死ねるなんて、かっこいいよな。ロマンチックっていうか。

ゼロ距離で呟いたその言葉に、リュータが反応する。


「好きな、」


「ああ、おまえと心中してもいいくらいには。好きだよ。リュータ」


 死んでもいいなんて壮大な愛の告白を、まさか彼相手にすることになるとは思いもしなかった。

けれど、これがどうやら自分の中では真実らしい。


 抱き締められるだけだったリュータが、おそるおそる、腕を背に回してくる。


「……おれ」
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