スーゼントの怨霊
次の日の夜は少し変わっていた。
ハデスの姿はなく、シュリバの亡霊が来る気配もなかった。
村人達はやっと今までの生活に戻れたと思い、神に感謝の祈りを捧げた。
みんなが寝静まった丑三つ時。
ある家族に異変が起きていた。

この家には老夫婦と一緒に息子夫婦とその孫が暮らしていた。

孫は自分専用のベッドで寝ていると、カリカリと天井を爪で引っかくような音で目を覚ました。
不思議に思った少年は音の位置を確認する。
だが、天井からではなく、窓からだった。
窓の外では一匹のネズミが中に入ろうと爪を立てている。
「脅かすなよ。」
肩をがっくり落とし、邪魔くさそうに窓を開けてネズミを落とした。
その瞬間、耳元で誰かが話しかけた。
「やってくれたな。」
と。
びっくりして布団に潜り込んだのだが、さっきの声が脳裏に焼き付いてリピートされていく。
「もう、止めてよ!」
手で耳をふさげば声のボリュームは上がる。
ふさがなければ恐怖のあまり吐きそうになってしまう。
孫は陽が登るまで苦しんだ。
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