スーゼントの怨霊
兄の脳内の核細胞が自滅した頃、自由を奪われた弟はヒラヒラと飛ぶ蝶と戯(たわむ)れていた。
羽ばたく度に羽根の模様や色が変わる。
少年は蝶に導かれるように家を出た。
外はいろんな種類の蝶が飛び回り、家の中へ飛んでいく蝶や家の周りを回っている蝶が多かった。
メルヘンチックな光景にみとれていると、ひときわ目立つ黒く大きい蝶がこっちへ飛んでくる。
それに気づいた虹色の蝶が少年をかばうように前へ出た。
大きい蝶が一メートル手前で止まって数秒後、少年はいきなり体を真っ二つに斬られた。
意識がなくなる直前、全ての謎が解けた。
蝶だと思っていたのは殺された村人の霊で、大きな蝶は刀を持った男。
虹色の蝶はかばってくれたのではなく、少年の姿を隠す為に前へ出たのだった。

残り、四人。
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