職場恋愛
仕事を終えて家電の休憩室で航が来るのを待った。


割と早く会えたんだけど、インカムを返し忘れたらしく携帯を置いて戻しに言ってしまった。


また連絡来てたりするのかな…。


ちら…。


「!?!?」


めっちゃ来てるじゃん!


『ゆずは』ちゃんからの連絡。


『おい、休みか?寝てるのか?』
『返事をくれないと家まで行くぞ』
『応答せよ』
『会いたい!!』
『会いたい』
『会いたい』
『会いたすぎて震える』


もはやメリーさんを超えて恐ろしい…。


やっぱり聞くの怖い。


ケンカにならずとも、「彼女だよ」って言われた場合の対処法が分からない。

ずっと鳴り続けてたのか充電が残りわずか。
そんなに連絡してくる相手ってどんな関係よ?

家も知ってるくらい深い仲なんでしょ?

怖い…。怖すぎる。



「待たせてごめんね」


ビク!!!


あからさまにビクついてしまった。


「あれ、驚かせた?ごめん」


笑いながら私の隣に座って謝ってくれる航は今日もかっこいいです。


「あの…さ…航…?」



「ん?」



「あの…………」


ブー…ブー…ブー…


このタイミングで電話かーい。
航の携帯だし。


どうせ『ゆずは』ちゃんだろうけど。


「ごめんね、ちょっと電話」


「…うん」


出る直前、航が小さくため息をついたのを私は見逃さなかった。


「もしもし?」


『どこにいんだよ!ボケェ!!』


声でかっ。

ていうか、やっぱり女の子だ…。


「会社」


『なんで返信くれないの!?』


「忙しいの」


なんだろうこのくだけた感じ。
2人の関係性はそんなにディープなの!?


『シフトの写メちょうだい!』


シフトってことは会社の誰か…?


「やだよ。てか、用ないなら切るよ?」


『ねーーー!待って!切らないで!お願い1人にしないで!』


「まだ会社だから、じゃあね」


『あーーー…』


ブチ。


この航が強引に通話を終わらせた………。
あのお優しい航が。



「…はぁ。しつこい」


小声だけどちゃんと聞こえた航の言葉。

元カノ…とか?


元カノなら確かに家を知っててもおかしくない…。

でも、私も別れたらあんな対応をされるの?
…耐えられない!!



「航…?」


「あ、ごめんね、さっきなんか言おうとしてたよね」


今の電話の相手は誰ですかなんて聞けない………。


「あのー…ほら、ね」


「ん?」


だめだ…聞けない。
怖くて聞けないよ!!!
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