職場恋愛

「結、俺もちょっと鍛えた方がいいのかな」


ソフトクリームを買うために一緒に並んでいる航が、自分の肩を触りながら呟いた。


「なんで鍛えるの？」


あ、もしかするとどこかのサービスエリアでもやしとかタケノコの細切りって言われたのを気にしてる…？


「そのままでいいと思うよ！大丈夫！」


「やっぱさ、山野さんとつり目さんって俺よりガッチリしてるじゃん？寝心地良かったのかなって」


えっ！


「違う違う違う違う！違うよ！そうじゃなくて、本当に眠くて！頭を置かせてもらうにはいいポジションだったの！たまたま隣だったから！ね！」


「…そう？」


「そうそう！航がもやしだなんて誰も思ってないから！」



と、必死で慰めたら逆効果だったらしい。
知らぬ間に後ろに並んでいたつり目さんに『フォローになってないどころか、傷を抉ったね、ゆーちゃん』と肩を叩かれてしまった。


「うわぁ！ごめんなさい！！そんなつもりじゃないんです！！」


時すでに遅し。


「いいんだよ…。もっと食べるから…。今はもやしでも。これから太るから…」


ははは…と乾いた笑みを向けられた。


「ごめんなさいぃぃぃ」